大学を卒業し、いざ社会へ出る第一歩が、新卒で入社する会社ですね。
社会の厳しさや常識、人間関係をトライ&エラーを繰り返して習得していきます。
初めて入る会社は、良くも悪くも社会人としての人格形成に影響を与えるものです。
社会人の方も、今学生の方も一度は通る道ですが、私はそんな新卒で働くお仕事にエステを選びました。私の就活日記と、実際働いてみた経験をご紹介致します。
就活に至るまで~前置き~
大学での専攻は心理学だったので、将来は心理カウンセラーを目指して勉強や実習に励んでいました。
妹が昔、摂食障害で入院していた時に、身近に精神科医やカウンセラーの方がいたのと、人の痛みを感じて少しでも和らげることができればと影響を受けたのが主な動機です。
しかし、実際に病院へ実習に行き、自らの志は変わっていきました。想像を超えた現実がそこにはあり、当時21歳の私には、恥ずかしながら耐えることができませんでした。この道を究めていく前に、自分自身の心がもたないと感じ、カウンセラーの道を断念することにしたのです。
医療事務の資格を取ったばかりだったのもあり、病院関係のお仕事で、カウンセリング技術を活かせるものはないか探していました。医療事務は経験者を求めていたので、新卒での募集はほとんどなく、美容外科の受付なども経験者が優遇されていました。
そんな中、美容系の求人で多いのがエスティシャンでした。
これならカウンセリング技術も活かせるし、憧れもあった美容業界で働けると思い、就活を始めていきます。
私の就活日記
業界と職種を絞った私は美容業界の会社説明会に足を運びます。
東京の会社で働くことを念頭においていたので、毎回夜行バスに乗って新潟から出向くのは骨の折れるものでした。1日に参加できる会社を詰め込んで、体調不良でも背筋を伸ばして、一番前の席をとっては質問をしていたのを思い出します。
美容専門学校を出ている人が多く、美容の知識のない私は彼女たちから白い目で見られ、冷たい態度をとられることもしばしばでした。
そんな中、ようやく大手の美容サロンから内定が出ます。苦難の私の就活が幕を閉じました。
いざ、エステティシャンとして
前置きが長くなりましたが、晴れてエステティシャンとして働くことになりました。
本社での研修が数カ月あり、それぞれの店舗に配属されます。
私の配属先は新宿で、全国ある店舗の中でも1日の客数が圧倒的に多いお店でした。
研修と実務は全く別です。研修では座学と実技をして1日が過ぎましたが、店舗ではほぼ雑用から入ります。お客様の前で施術ができるようになることを”デビュー”と呼ぶのですが、新人はデビューできるメニューがほとんどありません。そのため、先輩セラピストの横について目でみて学んでいきます。
※エステティシャンのことを、カウンセリングや提案も行うので、私のお店ではセラピストと呼んでいました。
新人が最初行う業務の主なリストです。
- タオルやバスローブの洗濯
- 先輩セラピストが施術で使った器具の掃除
- お客様のお部屋のセットと片付け
- 備品の補充
- カルテの読み込み
- 銀行へ両替
- 店内とトイレ掃除
こんな感じです。8割が洗濯物でしたね。
ちなみに空いた時間と閉店後は、”シスター”と呼ばれるメンターの先輩と施術の練習をします。
マッサージは長いと45分などのコースもあり、手技を覚えるのに最初は一苦労です。
沢山あるメニューの数だけ手技も、使用するマシーンも変わってきます。
その都度メモを取りますが、実際はメモを見る時間などないので身体と感覚で覚えていきます。
覚えることより難しいのが、力の加減やツボを瞬時に把握し、流れるように行う必要があることです。人体の構造の理解、身体に塗布するオイルや、クリーム、あらゆるものの効能から成分まで全て頭に入ってこそ、お客様に自信を持って施術や提案ができるようになるのです。
ここまでは時間と経験を積むとある程度習得できる範囲です。
一番難しいこと
それは、”お客様の心を動かすこと”です。
どんなに正確な施術をしても、そこに満足はありません。
エステに限らず、どんな業界でも商品でも共通していますが、お客様の満足度が何より重要なのです。
運よく一度は訪れてくれても、継続して頂けるか、新規で契約して頂けるかはセラピストの手腕にかかっています。
お客様には新規顧客と既存顧客がいますが、既存顧客への継続契約がかなり大変なのです。
この継続時期がきたお客様のカルテには”㋘”と記載されており、セラピスト同士でもこの㋘が書いてあると「今日マルケの日だ。。」とプレッシャーを感じることが多かったです。※注 ケは継続のケです。
効果があると嘘を言っても相手に伝わってしまうし、テンションを下げずに、来店を継続することで、どれだけあなたに良いことがありますよ と愛を持って伝えます。
ここであえて愛と書いたのは、熱をもって意気込むと、営業している必死さが伝わってしまって逆効果だからです。エステを受けに来る方は、自分の幸せを願って、本気で提案してくれることを望んでいます。
利益のために無理に契約させようと察知した瞬間、心を閉ざしてしまいます。
大事なのは、常にお客様の気持ちに立って考えることです。
基本ですが、一番難しいことでもありますね。
私はこの精神を持ってカウンセリングを行い、新卒での営業成績が1位になりました。
その後、エステの業界を離れて広告会社へ転職しましたが、この時の経験は非常に貴重でした。
最後に
エステサロンは、せわしない現実から少し離れて、優雅な空間で自分を癒しに来る場所です。
そこには、夢や憧れ、特別な空間が広がっています。
エステティシャンとして、セラピストとして、その期待を裏切らない、
ホスピタリティに溢れたおもてなしが必要とされます。
どこにいっても重宝されると思います。
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